おばけのシーツ

今とても欲しいものがあって、えっとそれは白いシーツなんだけど。

何に使うかっていうと、まあ頭からかぶって、目のとこくり抜いて、真っ暗な部屋でおばけごっこがしたいわけ。何人かで集まって夜の公園でおばけピクニックをしたり、ろうそくの灯りで本の朗読をしたり、手をつないでたまにゆらゆら左右に揺れたりする。みんなで輪になって暗い森をぐるぐる回ったりしても良いし、エスペラント語で合唱したり、疲れたら切り株に座って夜の紅茶を楽しんだりしても素敵。おばけがきちんと写真に写れるかどうかはわからないけれども、記録のためにカメラを用意しておくのも大切だ。


シーツのおばけっていうのは、日本ではあまり馴染みがないかもしれないから、周りのみんなで作り方を共有したりすると良いだろう。シーツに目の穴を開ける位置とか、おばけを装うための最適な長さとか。子供用のサイズとか、大きい人用のサイズとか。




ひと晩遊んだら、使ったシーツはキレイに洗濯してそっとタンスにしまっておく。次の夜のためのシーツがあの引き出しの奥にあるんだということ、その事実はきっと私のこれからの日々に少しの勇気を与えてくれるはずだ。例えば、この世界に全く必要とされていない小さな私！って考えに取り憑かれたりした木曜日の夕方とかに、ふと、あの何者でもないおばけになれるシーツのことを思い出したりしてね。

何の変哲もない、タンスの奥の真っ白なシーツ。



私が何を言っているかわかる？
こうやって今日も日が暮れていくのだと窓を見つめながらこれを書いている。
ねえ私が何を言っているかわかる？