2012年 02月 07日
創作の秘密
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早稲田で何度目かのダムタイプS/Nを観たあと、ようやくスーザン・ソンタグの『私は生まれなおしている』を読む気になったので、帰り道の書店で翻訳版を購入した。地下鉄に乗ってそのまま神楽坂へ移動する。
S/Nの上映後に自分の属性についてのアンケートの記入を求められたのでいくつかの質問に答えたが、文字にしてみるとやっぱりつまらん事実だった。S/N風にやれば、「Female, Heterosexual」というラベルを服に貼り付けるところか。車内でソンタグを読み始める。
神楽坂で友人に会う予定だったけど、「駅で、」というメールの後、どうにも彼女と連絡が取れない。もしかしてまた携帯を忘れているのではないだろうか。携帯がない時代ってどうやって待ち合わせしてたんだっけ。読みかけのソンタグに指を挟み、神楽坂交差点のブロックに上って四方を見渡していたところで非通知番号からの着信があった。案の定、公衆電話からの彼女だった。
入った店の片隅で、今日観たS/Nはすごく音が良かった、死ぬまでに後何回みれるのだろう、そうそう、ようやく『私は生まれなおしている』を読み始めたのだ、と久しぶりの友人に告げると、彼女は鞄から一冊の本を取り出してきた。アントニオ・タブッキの『他人まかせの自伝』。
「読み終わったから、あげる」
本はそうやって巡回していくべきだ、と彼女は言った。そういえば彼女から読み終えた本をもらうのは初めてではない。『あとづけの詩学』という副題は、なるほど創作の秘密を共有するには良いタイトル。
この日は終始、友愛の話をしたように思う。単純な言葉で表現しようとすればするほど、友情と愛情は驚くほど同じ姿で私たちの前に現れる、という事実。アウトプットを眺めるだけの第三者には、その区別は難しい。結果的に良い夜だった。忘れるために書いておく。

by iwafuchimisao
| 2012-02-07 05:34
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